有料老人ホームと特別養護老人ホームの看護師の違いは?
更新:2023/04/19
[老人ホーム]老人ホームの種類には『有料老人ホーム』がありますが、有料老人ホームの看護師は他の老人ホームとどの様な働き方の違いがあるのでしょうか?
よく比較される介護付き有料老人ホームと特別養護老人ホームを比べながら見ていきましょう。
介護付き有料老人ホームとは?
- 運営母体の違い
- 医療行為の違い
- 給与の違い
運営母体の違い
『特別養護老人ホーム』は、介護老人福祉施設とも呼ばれ、社会福祉法人や地方公共団体が運営している、いわゆる公的な老人ホームとなります。
公的な施設ですので入居の費用は抑えられていて、人気もある為待機が数ヶ月から数年となることもあります。
入居するにあたって条件がありまして、年齢が65歳以上で要介護3以上でなければ入居する事が出来ないのです。
『介護付き有料老人ホーム』は、民間の企業が運営している老人ホームとなります。
医療介護サービスについては大体が特別養護老人ホームと同じなのですが、老人ホーム内にプレイルームやリハビリ室や露天風呂等の施設を備えている所もあります。
民間の運営している老人ホームなので、日常生活をより快適に過ごして頂ける様にと、医療介護分野以外のサービスが充実している事が多いです。
前述した併設されている施設は、特に高級志向の老人ホームに併設されている事が多いです。
医療行為の違い
『特別養護老人ホーム』は要介護3以上で病気や障害等により在宅での生活が困難な高齢者を対象に受け入れている一方で、看護師の夜勤配置義務が無い為、常時医療行為を必要とする方の受け入れが困難な事が多いです。
主に行われている医療行為としては、褥瘡や創傷処置、皮膚トラブルへの処置、在宅酸素療法等の比較的軽い医療行為のみです。
『介護付き有料老人ホーム』は、各民間の企業によって受け入れ基準が異なってきます。
特別養護老人ホームの様に夜勤看護師がいない為比較的軽い医療行為のみの施設もあれば、経管栄養・インシュリン注射・人工呼吸器管理・気管切開者の管理等も受け入れている24時間看護師が常駐している老人ホームもあります。
24時間看護師が常駐している事によって、夜間帯の吸引や点滴管理、夜間発熱してもすぐに点滴対応をとれると言った、まるで病院に近い体制の施設もあるようです。
全ての有料老人ホームの医療行為が多い訳ではなく、施設によって大きく違いますので、選択する際には注意が必要です。
給与の違い
『特別養護老人ホーム』は、月給25~30万円。
病院と違い特別養護老人ホームの多くは夜勤が無いので、病院で夜勤有りで働いていた場合と比較すると給与はやや少なくなります。
『介護付き有料老人ホーム』は民間の企業が運営している事もあって、月給30~35万円。
大企業が運営している場合はもう少しプラスに修正されるでしょう。
日勤のみの場合でも特別養護老人ホームと比較すると時給もやや高く設定されています。
夜勤のある老人ホームでは、病院には及ばないものの近い給与になります。
経営母体の裏側
運営母体の違いについて前述しましたが、母体が違う事による特徴をもう少し深く見ていきましょう
- 特別養護老人ホームの裏側
- 有料老人ホームの裏側
特別養護老人ホームの裏側
『特別養護老人ホーム』は老人福祉法という法律に基づいて作られ運営されています。
なので、運営する母体についても法律で、地方公共団体である都道府県・市町村と社会福祉法人と定められています。
なぜ運営する母体が定められているかと言うと、社会福祉事業の中には第1種社会福祉事業と第2種社会福祉事業の2つがあり、特別養護老人ホームはこの第1種に分類されます。
この第1種社会福祉事業というものは、厚生労働省より『利用者への影響が大きいため、経営安定を通じた利用者の保護の必要性が高い事業(主として入所施設サービス)』と説明されています。
分かりやすく説明すると、民間企業が運営していて倒産してしまった場合、入居者の行く場所がなくなるから、経営が安定して行える地方公共団体が運営母体となっていると言う訳です。
有料老人ホームの裏側
有料老人ホームでは企業が運営母体となっていますが、倒産してしまっても問題がないと言う訳ではありません。
ですが、有料老人ホームは社会福祉法で社会福祉事業ではない福祉サービスとして扱われているので、特別養護老人ホームと運営母体が異なるのです。
高齢化社会が進み、需要があると見込んだ企業が利益を見込んで参入している状況です。企業の中には医療介護に関係の無かった業態の企業もあります。
経営母体が大きくても経営が盤石だと言うわけではありません。
介護事業の市場規模は年々増えていますが、介護事業の倒産も年々増加している状況です。
2016年の倒産件数は108件もあり、前年から比較すると40%以上倒産件数が増加しているそうです。
介護事業や老人ホームの経営実績があればいいのですが、介護について知らなくて実績のない企業であれば、ケアマネージャーや医療相談員からの信頼が得られず、入居を勧めないこともあるそうです。
地域から入居を勧められないとなると、入居者が募らない為、利益を出すことが困難になります。
利益の少ない施設では、必然的に給料も多くなく、賞与も少なく、賞与すらない施設もあります。
給料が少ないと職員も離れてどんどん忙しくなる負のスパイラルとなります。
大手企業の有料老人ホーム全てが業績が良く待遇面が良いかと言うと、そうではないこともあるので、一概には大企業が良いとは言えません。
それは、前述しましたように倒産件数も年々増加しており、施設独自のサービスで入居者を募り入居していただかないと収益につながらないからです。
有料老人ホームは企業が経営母体の事が多く、エリアによっては複数の施設を展開していることもあります。
各施設での求人もある施設もありますが、有料老人ホームによっては働きたい施設を選べないといったことがあるかも知れません。
また、系列施設への異動を命じられる可能性もあります。
異動先があまり離れていない場合はまだ良いですが、全く違う施設に異動を命じられたら、その施設で続けられるか不安になりますよね。
系列施設の中にはデイサービスや、ショートステイやサービス付き高齢者住宅の訪問看護など、老人ホームではない業態の施設の場合もあります。
老人ホームで働こうと思っているのに、違う業態で働くことに・・・なんてことになる可能性もあるのです。
介護付き有料老人ホームで働くメリットとデメリット
ここまでで大きく3つに分けて特別養護老人ホームと介護付き有料老人ホームの違いを挙げてきました。
では、実際に介護付き有料老人ホームで働く場合、それぞれのメリットとデメリットとは何でしょうか?
- メリット
- デメリット
メリット
基本的には特別養護老人ホームと医療行為差は無いので、病棟でバリバリ働いていた看護師さんが有料老人ホームに転職した際には、仕事が楽に感じるかもしれません。
また、時給設定がやや高い為、日勤のみで働いたとしても比較的高収入を狙う事が出来ます。
有料老人ホームによっては24時間看護師を常駐している施設もあり、夜勤をする事で病院で夜勤をしていた時の給与に近づける事も可能になります。
その様な施設では他の施設よりも医療行為が多く行われている事が多い為、医療技術をなるべく落としたくない看護師さんにもお勧めです。
デメリット
介護付き有料老人ホームに限らず、老人ホーム全体でも言える事ではありますが、介護を主とした施設ですので、看護師業務以外の事をしなければならない事も多々あります。
例をいくつか挙げると、食事介助やおむつ交換を介護職員と共に行います。
給与は他の老人ホームと比較すると高く設定されていますが、病院と比較するとやはり少なくなってしまう為、給与アップを目的とした転職先として選択しない方が良いでしょう。
また、24時間看護師が常駐している老人ホームでも、病院ではない為医療行為には限界があります。
そのため、スキルアップを目的とした転職先として選択しない方が良いでしょう。
夜間帯は看護師が一人なので急変のリスクや忙しくなる可能性も高くなります。
まとめ
有料老人ホームについて形が見えてきましたでしょうか。
転職先として有料老人ホームを選ぶと、施設によって勤務体制・医療行為・給与は大きく違っています。
勤務体制や給与については求人票に乗っていますが、医療行為については簡単な物しか載っていない事が多いので、実際に働いてみたら医療行為が沢山で大変な事もあるかも知れません。
転職先を探す際に看護師転職支援サイトを活用してみるのはいかがでしょうか。
看護師転職支援サイトでは、転職コンサルタントが丁寧に転職先を探してくれるだけではなく、気になる老人ホームの実際に行われている医療行為を把握している事もあります。
有料老人ホーム以外にも特別養護老人ホームや介護老人保健施設等の他の業態の老人ホームについても提案してくれますので、是非活用してみて下さい。
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執筆者情報
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