特定保健指導でどんなことをしているの?どうして必要なの?
更新:2023/04/23
[保健師]あなたは特定保健指導という言葉は耳にしたことはあっても、どんなことをしているの?どうして必要なの?と疑問に思いませんか?
私は働くまで正直ピンと来ませんでしたし、イメージできませんでした。
実際に保健師に転職したての頃、「はい保健指導して」と言われて固まってしまいました。
もちろん先輩の指導を見て学んだあとに実戦に出ましたが。
今回は企業保健師として勤務していた私の特定保健指導の経験をお話し、皆さんの疑問にお答えしたいと思います。
この記事の内容はこれ!
特定保健指導はどんなことをしているの?
特定保健指導とは、厚生労働省が推進している生活習慣病予防のためのプログラムです。
メタボリックシンドロームに着目した特定健診を受けてもらい、その結果生活習慣病の発症リスクの高い対象者に保健指導を行い病気の予防や早期発見を目的としています。
皆さん自身も新年度が始まったころに職場で健診を受けませんか?
特に医療職者も含め夜勤など特殊勤務の職業に就いている従業員は年二回健診があるかと思います。
そして忘れた頃に結果が送られてきますよね。
保健師はその結果をもとに、生活習慣病に移行する恐れのある人や、すでに高い数値の人をピックアップし直接ご本人に連絡します。
ハガキや電話などで連絡をしますが、この最初のコンタクトが非常に大変です。
このご時世、突然の電話にかなり不審がられます。
電話番号や健診結果は非常にデリケートな個人情報です。
一般の方からしたら馴染みのない「保健師」を名乗る者から、職場や携帯に電話が掛かってきて健診結果についてあれこれ言われるのです。
すんなり、「はい、では保健指導を受けます」という流れになることは少ないです。
本当は特定健診の際に問診票の一番最後に「機会があれば特定保健指導を受けたいですか?」という質問項目があり、それに「はい」とチェックされた方に連絡しているのですが、皆さん数ヶ月前のことなので忘れていることが多いです。
毎回特定健診→結果が悪い→特定保健指導の流れをご本人が納得するまで説明し、それから日程調整を行います。
しかし、この日程調整も大変です。対象者さんは働き盛りの方です。
長期出張などで対面面談が難しい場合は、面談資料を送り電話面談なども行います。
最近はインターネットを利用したテレビ電話での面談も行うこともあります。
何とか面談まで漕ぎつけて、そこから重症度によって3ヶ月の動機づけ支援か6ヶ月の積極的支援を行っていきます。
不審がられても、嫌がられても諦めず面談に繋げます!そこまでしてどうして特定保健指導は必要なの?
正直、最初の電話連絡で不審がられ怒鳴られたこともあります。
職場の電話番号しか無い場合勤務先に電話をしますが、人事にも影響を及ぼすこともあるため健康問題を職場に知られたくなかったとクレームを受けることもありました。
それでも対象者さんに現在の身体の状況を把握し、一緒に生活習慣を見直しましょうと根気強く説得したりもします。
どうして嫌な思いをして説得してまでと思われるかもしれません。
でも実際健診結果を見ると入院患者さん!?と思うようなゾッとするような結果の方も普通にたくさんいます。
このまま介入しなければどうなるか医療者なら結果はすぐに分かります。
対象者さんは働き盛りの方が多いです。既婚者の方は配偶者が病気になったらと想像すると家庭が大変なことになるのは目に見えています。
独身の方もご両親、ご兄弟に心配をかけてしまいます。ご家族のためにも自分を大切にしてくださいとお話し、病気の予防、早期発見に繋げています。
自営業の方を訪問指導した際に、対象者さんの奥様からお礼を言われたことがあります。
特定保健指導はセーフティーネット!
私は特定健診はとても有益だと思います。
本来自費だと数万円するような検査内容を自治体の特定健診では数百円、数千円、会社の特定健診は無料で受けれるのです。
特定健診はただ受けて結果をもらうだけでは何も意味がありません。
せっかく受けた健診を活かさなければ本当にもったいないと思います。
生活習慣病は自覚症状の無いうちに徐々に進行していきます。
むしろ自覚症状が出てからでは遅いことが多いのです。
自覚症状の無い段階で唯一検査結果だけが体からのSOSを知る手段なのです。
その体からのサインを分かりやすく説明し、その人にあった個別のいわばオーダーメイドのサポートをしていくのが特定保健指導です。
自覚症状が出たり、かなり進行した状態からの治療は、時間もかかりますし良い結果も出にくいです。
特定保健指導を通して数値を正常値に戻し、心身ともに健康な状態に戻すその手を差し伸べるのが保健師の行う特定保健指導なのです。
いかがでしたか?少しは特定保健指導のイメージができましたか?
特定保健指導は厚生労働省が推奨しているプログラムで、その予防医療の側面から今後も継続されていくと思われる重要なやりがいのある仕事です。
ぜひ興味を持たれた方は、あなたの知識・経験を保健師として活かしてみてください。
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