看護師の管理職の役割と給料、そして悩みについて解説します!
更新:2023/03/31
[日常業務]看護師の管理職ってどんな役割を持っているのでしょうか?
看護の管理職には主任看護師、看護師長、副看護部長、看護部長があります。
これらは病院など職場によって名称が変わります。これらの管理職の役割について解説します。
また管理職になると給料が上がるのかなど気になることもまとめていきますね。
この記事の内容はこれ!
看護師の管理職の種類とその役割
看護師の管理職は主任看護師、看護師長、看護副部長、看護部長の4つになります。
病院によっては副主任看護師や看護副師長の役職を置いているところもあります。
管理職の中で看護部長になると副院長を兼務することもあります。
これらの役職に分けているのは働く看護師の数が多ければ多いほど管理職がまとめるのが大変になってしまうためです。
看護師1人1人に目を配るために細かく管理職を分けていると言えます。
副主任看護師の役割は主任看護師のフォローをする現場に最も近い存在
副主任看護師は主任看護師の下の立場です。看護師の副主任の役割として挙げられるのは主任看護師のサポートです。
また副主任看護師は現場の看護師に最も近い立場になりますので、看護師の声を聴き、主任看護師や看護師長の管理職につなげていく役割もあります。
副主任看護師がいなければ主任看護師が現場に最も近い存在になりますので、これらの役割を担います。
一方、現場の看護師と主任看護師・看護師長の間に挟まれる立場でもあり、つらい思いをすることもあります。
現場の看護師と同じく、看護師として働きながら管理業務もするという立場はつらいこともありますよね。
しかし自分だけで解決しようと気負わずに、現場に最も近い立場で看護師が働きやすい環境を作るために管理者との橋渡し役をすることを意識して仕事をするといいかもしれません。
主任看護師の役割は看護師長の補佐と看護師をまとめるリーダー的役割
看護師の管理職の中で最も身近な存在になるのが主任看護師です。
主任看護師は通常の業務をしながら看護師長のサポートをしている、非管理職と管理職をつなぐ橋渡し的な役割をしています。
主任看護師の役割として所属部署の看護師長のサポートがあります。
看護師長が不在の時師長代理としての業務をする、現場の看護師からの意見などを看護師長に伝えるなど、橋渡し的な役割を持っています。
また現場の看護師と一緒に働きながら看護師のサポートをしつつ、働きやすい環境になるように看護師長と職場環境を整えるような働きもしています。
看護師長の役割は部署全体をまとめ、病院側の意見を伝える役割
主任看護師の上に立つのが看護師長です。病院であれば各病棟に1人ずつ配置されています。
看護師長の役割として所属する部署を管理する役割を持っています。所属する看護師をまとめるリーダーとしてシフト管理をするのはもちろんですが、看護師全員の体調管理なども役割の1つになります。
また病棟の責任者でもありますので、患者さんからのクレームや相談事に対応しています。
看護師が患者さんとのトラブルになった時にも仲介役として看護師長が間に入り、対応します。
クレーム対応や相談業務は患者さんだけではなく、看護師や医師でも同様です。
他にも看護部や病院側の意見や考え、方針を看護師たちに伝える役割もあります。
病院などによっては看護師長が教育などの委員会活動の中心になっていることもあります。
副看護部長と看護部長は病院側の方針を各看護師に伝え、看護師全体をまとめる役割
看護師長の上の管理職が副看護部長と看護部長です。
看護部全体を統括すると共に、病院側の方針や意見を看護師長に伝え、情報共有をしていく役割があります。
そして看護師の採用をする際に面接に同席する、看護師の適正な配置になるよう調節するなどの人事面での役割もあります。
看護師の管理職の給料は病床規模が大きいほど高くなる傾向
看護師の管理職の給料は病床規模が大きくなるほど高くなる傾向があると日本看護協会の調査で結果が出ています。
<職位別の平均基本給月額>
- 看護部長(平均年齢56.7歳) 427,573円
- 看護副部長(平均年齢54.1歳) 405,373円
- 看護師長(平均年齢54.0歳) 370,949円
- 主任看護師(平均年齢50.1歳) 327,143円
看護師の管理職では看護部長が最も給料が高く、次いで看護副部長、看護師長、主任看護師の順で並んでいます。
日本看護協会の調査によると看護師の管理職の看護副部長以上のポストの年収平均は719万3,6319万円となっています。
ちなみに700~800万円未満と800~900万円未満である管理職が22.1%で最も多くなっています。
看護師の管理職へ昇進・昇格するための研修がある
看護師の管理職に昇進・昇格するためには各病院などの規定を満たしている必要があります。
中には前任者の退職などに伴い、ポストに空きができたことで急きょ昇進することもあります。
もともと看護師の仕事に対してモチベーションが高く、専門・認定看護師など積極的にキャリアアップをしている(考えている方)、能力が高い看護師は上司からの評価が高くなり、管理職に昇進するケースが多くなっています。
看護師の管理職へキャリアアップするための研修は3つある
看護師の管理職がキャリアアップするための研修には3種類あります。
病院などの中で行われる研修もありますが、日本看護協会が行っている研修もあります。
この日本看護協会が行っている研修は3段階に分けられています。
ファーストレベル(主任クラス)
主任看護師になるための研修としてこのファーストレベルがあります。
この研修の教育目的として挙げられているのは、
- 看護専門職として必要な管理に関する基本的知識・技術・態度を習得する。
- 看護を提供するための組織化並びにその運営の責任の一端を担うために必要な知識・技術・態度を習得する。
- 組織的看護サービス提供上の諸問題を客観的に分析する能力を高める。
の3つです。
研修時間は総150時間となります。座学が中心となりますが、演習時間も含まれています。
セカンドレベル(看護師長クラス)
セカンドレベルは看護師長クラスを対象とした研修です。
この研修の教育目的として挙げられているのは、
- 第一線監督者または中間管理者に求められる基本的責務を遂行するために必要な知識・技術・態度を習得する。
- 施設の理念ならびに看護部門の理念との整合性をはかりながら担当部署の看護目標を設定し、その達成をめざして看護管理過程が展開できる能力を高める。
の2つです。研修時間は総180時間で、そのうち演習が15時間含まれています。
サードレベル(看護部長クラス)
サードレベルは看護部長クラスを対象とした研修です。
この研修の教育目的として挙げられているのは、
- 社会が求めるヘルスケアサービスを提供するために看護の理念を掲げ、それを具現化するために必要な組織を構築し、運営していくことのできる能力を高める。
- 看護事業を起業し運営するにあたって必要となる経営管理能力に関する知識・技術・態度を習得する。
の2つになります。
研修時間は総時間で180時間、そのうち演習が15時間含まれています。
看護師の管理職…主任看護師になるために必要な能力とは
看護師の管理職として最初の目標となるのは主任看護師です。
主任看護師は一般の看護師をまとめる看護師長の補佐的役割を持つ立場です。
ここでは主任看護師になるにはどのようなことが必要なのか考えていきます。
また同じ管理職として看護師長もあるわけですが、主任看護師に必要なスキルがなければ昇進は難しいですよね。
看護師の主任になるのは10年以上の経験を経た30代から40代の看護師が多い
看護師の主任になる年齢で多いのは30代~40代です。
この年代は看護師として働き続けている場合、キャリアは10年以上になり、スキルも身についている時期です。
他の看護師よりもスキルを持っている場合、経験が10年未満でも看護主任として昇進することもあります。
中には人手不足で若くても看護主任という立場になっている方もいます。
主任看護師の目標は以下のスキルを身に付けること
主任看護師になりたいと思っても、上司から認めてもらい、評価してもらわなければ昇進することはできません。
主任看護師になるにはこれからお伝えするスキルを身に付けるようにしましょう。
リーダーシップ
まず主任看護師に必要なのはリーダーシップです。
看護師をまとめていく立場になるため、リーダーシップが乏しい状態であれば誰もついていこうと思いません。
そのため看護師を引っ張る力を持っていることは大切なことになります。
コミュニケーション能力・相手の気持ちが分かる力
コミュニケーション能力も大切です。話すことも聞くことも大切ですが、相手の気持ちを察知する力が必要です。
悩みを言語化できない看護師も多くいます。またなかなか悩みを打ち明けることができずに困っている看護師もいます。
そうした看護師に対していち早く気づき、対応することができることが必要です。
看護師としてのスキルが十分にあること
主任看護師になるためには看護師としてのスキルが十分でなければなりません。
主任看護師が患者さんの急変の時に慌てていて何も対処できなかったら周りの看護師も困りますよね。
そうした急変時にも慌てずに判断し、冷静に周りに指示を出しながら対処できるようなスキルは最低限必要です。
主任看護師が捉えた主任としての役割という研究から分かった主任看護師の役割
主任看護師についての役割を明らかにした研究があります。
この研究で分かったのは.看護師長と現場の看護師の間をつなぐ役割、実際に看護師として働きながら現場を仕切る役割、働きやすい環境を作り人間関係を円滑にするための役割が挙げられています。
他にも実際の主任看護師から出された意義として看護師長と現場を自由に行き来し、主任としての役割を見出せるような病棟づくりを検討するとのことが挙げられています。
そして今までの経験やスキルを最大限生かして看護師長や現場の看護師と関わる必要があるという課題も出されています。
看護師の管理職…看護師長になるためには?
看護師の管理職の代表的存在、看護師長。
看護師長になるために必要なのは、どういった能力と経験なのでしょうか?
看護師長になるのは40代のスキル・経験が十分にある人
主任看護師の次のキャリアアップは看護師長です。看護師長になるには主任看護師に必要なスキルを満たしていることは必要最低限の条件です。
そしてその条件以上の能力が求められるため、経験もスキルも十分にあると認められた人が対象になります。
看護師長になる年齢は40代が最も多い
看護師長になる年齢は40代が最も多くなっています。
40代は看護師になって約15~20年のキャリアを持つベテラン看護師たちが多い年代です。
そして看護師として働く中でスキルも経験も十分に積んでいると言えます。
看護師長に必要なスキルは主任看護師以上のリーダーシップ
看護師長は立場は異なりますが、主任看護師と同じ管理職になります。
そのため現場の看護師をまとめる能力やリーダーシップなどが必要になります。
もちろん、主任看護師以上のスキルや経験が必要です。
看護師長に必要なスキルは主任看護師以上のコミュニケーション能力
他にも看護師長になれば他の部署の看護師長や看護副部長・看護部長と業務をすることがあります。
看護部や病院の方針を理解し、所属する部署の看護師に伝える役割が出てきます。
そのため他の看護師長や看護副部長・看護部長との関係性を良好に保つ能力があることもスキルになります。
加えて現場の看護師の意見と看護副部長・看護部長との意見が合わずに板挟みになってしまうこともありますのでその困難を乗り越える力も必要です。
看護師の管理職の悩みは辞めたいきっかけにもなる
看護師の管理職である看護主任や看護師長、看護副部長、看護部長ですが、管理職であるが故の悩みがあります。
その悩みを1つずつ確認していきましょう。
看護師長は現場に出れないことが悩み
看護師の管理職も現場を経験してその立場に立っている人がほとんどです。
また管理職になった人の中にはもしかしたら現場で看護師として働きたいと思っているのに昇進したというパターンもあり、そうした方は現場に出たいけれど管理業務でできないという葛藤を抱えてしまいます。
対処法 上司に話をする
現場でもっと働きたいと思っている悩みについては直属の上司に話をするのが解決の第一歩になります。
管理職よりも現場があっていると感じているのであれば相談の上、現場に戻ることもできるでしょう。
現場と上からの板挟みになる悩みがある
現場の看護師の気持ちを知りたくても現場に出れない、現場の看護師から「いつも机に座って事務仕事している人に気持ちは分からない」と言われてしまうこともあります。
現場の気持ちを考えて業務をすれば看護部から文句を言われ、看護部の指示通りにすれば現場から不満が出て…板挟みになってしまいます。これは辞めたいというきっかけになる悩みです。
対処法1 非管理職として転職する
板挟みで悩んでいるのであれば、管理職から降りることも考えるかもしれません。
しかし一般的に管理職から降格することはあまり現実的ではありません。
そのため管理職を辞めたいとなれば転職も視野に入れてみてはどうでしょうか?この場合には面接の時点で管理職をしないということを相手方に伝えておくことが必要です。
対処法2 中小規模病院の管理職として転職する
給与面で魅力があることで管理職を続けるのであれば病院の規模が大きいほど管理職の大変さが増してしまいます。
そのため看護部の規模がそれほど大きくない中小規模の病院がおすすめです。
看護部の規模が大きいほど管理する看護師の数も増えます。そのため看護師の数が多くない病院であれば、現場の看護師に近くなりますので関係性が悪くなるリスクは少なくなります。
また大規模病院は看護部や病院の経営側、医師などからの方針の押し付けがあります。
しかし中小規模病院であればそれほど押し付けはありません。看護部や病院側とのコミュニケーションも取りやすく、看護師の人数が少ないこともあり、現場の看護師とのすり合わせもしやすいと言えます。
主任看護師や看護師長の悩みは現場の看護師をまとめる難しさ
現場をまとめるのが看護師の管理職の役割ですが、なかなか難しく、管理職の悩みにもなっています。
働く看護師の年齢や経験、性格などがバラバラであるためその個性派ぞろいの人たちをまとめるのはとても難しいですよね。
そして女性社会であることも現場をまとめる難しさの1つになるでしょう。
対処法 上司に相談・管理者の研修
管理職に昇進後すぐに管理職としての能力を発揮できるわけではなく、経験を積むことが必要になります。
そのため、すぐに現場をうまくまとめられると思わずに、分からないことや悩みを直属の上司に相談するようにしましょう。
また日本看護協会が開催している看護師の管理者の研修に参加し、管理職としてのスキルを学ぶのも良いです。
他の管理職と合わないのはどの管理職も共通
他の管理職と合わないことも悩みの1つです。
管理職は自分の部署以外の管理職と連携を取る、医師や他の職種と連携を取ることが役割になります。
そのため他の管理職とそりが合わないとなると悩みになりますよね。特に主任看護師であれば看護師長と、看護師長であれば副看護部長や看護部長と合わないと悩みます。
対処法 部署異動・転職の選択肢
管理職も人間ですから会う・合わないというのは絶対にあります。
もしコミュニケーションを十分に取っても一緒にやっていくのが難しいとなれば部署異動などの対処が必要になります。
またコミュニケーション以前に性格的に合わない、話を聞いてくれないというような悩みの場合には転職をするという選択肢もあります。
名ばかりの管理職で給料が割に合わない悩みは主任看護師で多い
管理職の名はもらったが、仕事内容は現場の看護師と同じ業務に加えて管理業務が上乗せされた、さらに支給されている管理職手当や給料がその忙しさに見合っていないとなると「管理職を辞めたい」となりますよね。
看護師長は管理業務で残業が増えても、残業代は出ませんので一見割に合わないように見えますが、それに見合うだけの基本給の高さ、役職手当の高さがあるのでそこまで割に合わないということには主任看護師ほどなりません。
主任看護師の場合、管理職になった時に夜勤回数が減る場合があります。夜勤回数が減るということはその分の夜勤手当が支給されずに、今までの給料よりも減ることになります。それも悩みになりますよね。
しかし看護師長になるためには基本的にその下の主任看護師で経験を積むことが求められますので給料が少なくなったとしても耐えることも必要です。看護師長になれば給料も上がり、元が取れると考えてそれまで我慢するという考え方もあるかもしれません。
対処法1 転職も選択肢に入れるべき
管理職として働くうえで管理職手当が支給されるようになります。しかし支給額が仕事内容に見合ってなければ転職も選択肢に入れるべきでしょう。
管理職になった時点での昇給や管理職手当が微妙な時には今後も満足することはないため、もし転職を考えるのであればあらかじめ役職手当の額を調べるようにしましょう。
対処法2 夜勤をしたいと直談判するのは非現実的
また夜勤をしたいと直談判してみる方法もありますが、現実的ではありません。
転職して管理職をせずに夜勤をして稼ぎたいという意思があるのであれば、管理職にはなりたくない、夜勤に積極的に入りたいと面接のときに伝えることが大切です。
まとめ
ここまで看護師の管理職について役割や給料、悩みなどをまとめてきましたがいかがでしたか?
今看護師として働く方にとって身近なキャリアアップの目標になるのは主任看護師、副主任看護師ではないでしょうか?
経験10年以上の30代から40代の看護師が看護主任に昇進することが多いです。
また看護師の管理職になるための研修も日本看護協会が行っています。
基本的には上長の推薦などで研修を受講される方が多いでしょう。
もしキャリアアップをしたいと考えているのであれば仕事に対するモチベーションが高いというところをアピールしていきましょう。
そして看護師経験があり、管理職として活躍したいと思っている時にも転職サイトに登録し、転職コンサルタントにそのことを伝えましょう。
特に看護師長クラスになると病院の体裁も気になるため、非公開求人になっていることがほとんどです。
そのため、転職サイトに登録することで条件に合う求人を見つけることができます。
主任看護師の悩みに合った現場で夜勤をして稼ぎたいという思いを持っていても転職先では管理職としての採用は無しでという条件を伝える自信がない場合には転職コンサルタントに相談し、伝えてもらうようにしましょう。
また中小規模の病院の看護師長の現場との関係性についても実際のところが分からない、もしかしたら看護部の指示の度合いが高いかもしれないという心配がある時にはあらかじめ求人先の病院の様子を転職コンサルタントに調べてもらうとギャップがありません。
また管理職を続けたいという方もあらかじめ役職手当の額を調べてもらうことも転職コンサルタントにお願いできます。
ぜひ転職サイト、転職コンサルタントを活用して、満足する求人に出会ってください。
万が一に備え、看護師転職サイトに登録しておきましょう!
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執筆者情報
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