看護師が脳卒中専門病院に転職をしたときに失敗しない方法とは?
更新:2023/04/23
[脳卒中専門病院]現時点で勤務なさっている病院に不満はありませんか?
不満はあるけれど、他科で働く勇気が無い、忙しい職場から遠ざかりたい、看護師としてのキャリアアップもしたい…など人それぞれ転職に悩みはつきものです。
筆者は私立大学病院から脳卒中専門病院に転職をしました。転職までの経緯や脳卒中専門病院の特徴を記載しましたので参考にしてくたさい。
この記事の内容はこれ!
私の転職体験談
私立大学病院で勤務し、毎日が忙しくプライベートな時間も病院の仕事などしていました。
休日でも病棟の仕事等をやるために出勤していました。仕事は楽しかったけれど精神的にも肉体的にもきつく、長く働ける場所では無いなと感じていました。
そんな矢先、交際中の彼と結婚をすることになり退職をしました。
彼の赴任先で新しい生活を始めることとなったため、転職活動を引っ越しと同時に始めました。資格さえあればどこでも働けると思っていましたが、中途採用の転職探しは大変でした。
新居地にも大学病院はありましたが、募集期間を終了していたことに加え、以前のような職場を想像してしまい大学病院で働くことを選択肢の1つには入れませんでした。
経験と知識もあるため大学病院で働いていた診療科で転職先を探してみましたが、良い条件はありませんでした。
科にとらわれず、長く働けそうな病院を考え探していると、脳卒中専門病院がありました。
給料は下がるものの、ワークライフバランス制度を導入しており、中途採用でも行き届いた指導をしていると紹介されていたのでプライベートと仕事をくっきり分けて生活出来、長く働けるのではないかと思いました。
一から出直すつもりで、新しい分野に携わってみようと思い転職を決めました。
採用試験日は締め切っており、転職サイトでは情報が掲載されていない施設だったので病院に直接電話をしてみることにしました。
病院に連絡すると快く採用試験を別日で開催してくれ採用となりました。
新しい勤務先では、病態の勉強会も開催してくれたため、疾患の理解に繋がりました。
数ヶ月でしたがプリセプターをつけてくれ、業務内容もスムーズに取り組め仕事がしやすい環境でした。病棟業務は忙しいですが、疾患が異なるとADLやQOLも異なってきて看護の幅が広がり新鮮でした。休日は出勤することなくプライベートが分かれていましたし、院内保育園もあり働くママも多く働きやすい環境でした。
脳卒中専門病院の特徴と看護の特徴
脳卒中は発症後できるだけ早く専門病院にて治療を開始することが生命予後だけでなく、機能的な予後も改善することが判っています。よって発症間もない急性期から回復期までを総合的に診ていくことができる病院となっています。
看護師は退院後、かかりつけ医や訪問看護スタッフが絶え間なく医療や必要なケアが行えるように入院中に調整していく役割を担っており、患者の家庭復帰、社会復帰に貢献できるようニーズにあった看護を提供しています。
脳卒中専門病院で働く看護師のメリット
- 回復過程が目に見えてわかるためやりがいを感じやすい。
- 他職種の援助が必要となる疾患であるためチーム医療を実感できる。
- 社会福祉制度に詳しくなるため、脳卒中専門病院から他院へ転職した後、退院支援などの強みとなる。
回復過程が目に見えてわかるためやりがいを感じやすい。
患者の『○○ができるようになりたい』といった目標にチーム一丸となって取り組みます。障害を受けた部位のこともあるため、必ず望ましい姿になるとは限りませんが近づけるように援助をしていきます。
患者の良くなっていく姿が目に見えて感じるため、看護師でよかったなと思えることが多いです。
他職種の援助が必要となる疾患であるためチーム医療を実感できる。
一人の患者を医師、薬剤師、看護師、PT、OT、ST、MSW、病棟クラーク全員で看ています。
カンファレンスに全員が参加をしており、必要な分野で意見を述べあうため『先生が何を考えているのかわからない。今何を先生はしようとしているのか』といったことはありません。
担当スタッフ全員が情報を共有しあい、患者を望ましい姿にもっていくことが出来るのは脳卒中専門病院ならではのことではないでしょうか。
社会福祉制度に詳しくなるため、脳卒中専門病院から他院へ転職した後、退院支援などの強みとなる。
介護保険制度、介護区分、利用できる入所施設、介護費用の限度額など脳卒中専門病院で働くと必ず聞く言葉です。これらはMSWが専門的に行う仕事ではありますが、働いていると学ぶようになりいつのまにか覚えてしまうことが多いです。
日本は現在、超高齢社会となっており入院患者の多くを老人で占めます。脳卒中専門病院で学んだ後、ケアマネージャーを取得するなどの目標がある方はとても有利になると思います。
脳卒中専門病院で働く看護師のデメリット
- 麻痺が重度であれば介助量が多いため、体力を必要とされ肉体的疲労が大きい。
- 体位変換や移乗介助、移動の介助を必要とらされる患者が多いため腰などを痛めやすい。
- 入院が長期化することで合併症を併発しやすくなり退院がなかなか出来ないこともある。
麻痺が重度であれば介助量が多いため、体力を必要とされ肉体的疲労が大きい。
障害される部位によって異なりますが、脳卒中の後遺症に麻痺が生じることがあります。ADLが軽度~重度と異なりますので、全員が全介助レベルということではありません。
しかし、介助量が多い患者さんが多くなると看護師一人一人の負担も大きくなり、夜勤となると一人で十数人のお世話をしなければならないことがあり、体力を必要とします。勤務終了後はスタッフと『今日も頑張ったね』とお互いをねぎらい勤務を終えていました。
体位変換や移乗介助、移動の介助を必要とらされる患者が多いため腰などを痛めやすい。
介助を必要とする患者が多いため腰や肩などを痛めやすいと思います。腰などを痛めないためにも正しい体位変換や介助方法なども病院で学ぶ機会があるため、出来るだけボディメカニクスを利用した移乗・移動介助を行って欲しいと思います。
入院が長期化することで合併症を併発しやすくなり退院がなかなか出来ないこともある。
脳卒中専門病院に入院してから退院までとなると早い方で2~3週間程度、遅い方であれば
3~6ヶ月となることもあります。これは全員に当てはまることではありませんが、入所先の施設や自宅の受け入れが困難であると入院が長期に及ぶ場合もあります。
入院が長期化してしまうと、患者のモチベーションが下がってしまったり合併症を併発してしまうことがあります。
出来るだけ、目標となる退院日までスタッフ一丸となって取り組むのですが、加齢やもともとの身体機能の低下から合併症を併発してしまうことがしばしばあり、治るまでも時間を要します。患者と家族が良い状態、良い時期に退院できるように援助していく難しさがあります。
脳卒中専門病院の仕事に向いている看護師
第一条件は脳卒中分野に興味がある、学ぼうと思える人。これ以外にはないと思います。『向いている人、向いていない人』はいないと思います。
いろんな患者がいるため、いろんなタイプの看護師がいた方が広く看護が出来ると思います。
脳卒中専門病院といっても急性期病棟、回復期病棟、外来によって同じ病院であっても全く異なる雰囲気となります。急性期病棟に配属されて『なんだか向いていないな。』『なんか違う気がする』と感じたら他の病棟に移ってみたらどうでしょうか。
私の同僚も『急性期病棟は時間に追われている。患者ともっと向き合いたい。』と話していたため師長に話し、回復期病棟へ異動となりました。回復期病棟へ異動後はいきいきとして働いていました。
病院側は退職により貴重な看護師が不足することは避けたいため、部署異動はすぐにとはいかないでしょうが大体出来ると思います。
安易に辞めたりせず、転職した後に『なんか違うな。もっと○○したい』と思ったら一度、上司に相談してみてはどうでしょうか。
脳卒中専門病院で働く上での注意点
- 頑張り過ぎない
- 報告と連絡と相談
- とりあえず1年は頑張ってみる
頑張り過ぎない
転職後、数ヶ月は脳卒中分野だけでなく仕事の進め方のルール、職場での暗黙のルールなどがあり分からない事や、漠然とした不安や疑問が出てくると思います。
ストレスも溜まりやすい時期であるため、適度に息抜きをし最初から頑張りすぎないことを自分に言い聞かせましょう。
必要とされる時期に必要とされている能力を出せるように、しっかりと体力を温存し指導内容をしっかりと自分のものにすることが必要です。
報告と連絡と相談
分からない事があれば些細な事でも上司や同僚に質問して行きましょう。
避けておきたいのは、自分の経験上で知っている事だからと言って自分の判断で勝手に仕事を進めていってしまう事です。
出来ると思っていても、一言告げて行動したり、自分の知識を確認してもらった後にケアを行うなどの行動が必要です。
わからないことは何も恥ずかしいことではありません。診療科や病院が違うと扱う薬剤や、医療機器が異なってきます。憶測で判断して行動せず1つ1つ確認をしていくことが大切です。
とりあえず1年は頑張ってみる
配属された病棟について不満がある方もいるでしょう。脳卒中専門病院にいるのだから急性期看護をやりたい、機能回復に興味があるから回復期看護をやりたいなど目標を抱いていても必ずしも配属される病棟が望み通りにはなりません。
『辞めたい』となる前に異動届けを出してみるのもいいでしょう。
配属された病棟で異動まで頑張り、自分の希望する病棟に移った時、それまで働いてきたことが良い経験となり、あなたの看護は飛躍的に素晴らしいものとなります。
まとめ
脳卒中専門病院に転職をした体験談と共に、脳卒中専門病院の特徴を述べてきました。脳卒中は障害の部位や程度によって異なりますが、麻痺の方の日常生活援助が必要とされるため看護師の体力が必要とされ、体力的には楽な仕事ではありません。
しかし、患者を取り巻くスタッフ全員が協力するチーム医療はとてもやりがいを感じます。看護師だけの視点でずっと看護をしてきた数年間を、今後はたくさんの視点で見れる看護を出来るようになるのが脳卒中専門病院です。
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執筆者情報
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