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精神科 看護師の仕事内容は患者さんの話を聞く事?他にはどんな看護が実施されているの?

更新:2023/04/11

[精神科]

精神科 看護師の仕事内容は患者さんの話を聞く事?他にはどんな看護が実施されているの?

精神科には実習で行った事はあるけれど実情はよく分からない、という人は結構多いのではないでしょうか。

精神科の看護実習ではコミュニケーションに重きを置いている場合が多く、実際の精神科での看護師の仕事内容とは少し違っていることが多いように思います。

世間的にマイナスなイメージをもたれやすい精神科ですが、そこで働く看護師の仕事内容には、実は多くの魅力が詰め込まれています。ここで少し説明していきましょう。

精神科 看護師の仕事内容を1日の流れで見るとどうなるの?

8:30 申し送り
9:00 検温
10:00 処置(浣腸、導尿、軟膏や点眼薬)
11:30 外出付き添い(定期的な日用品の買い物、気分転換・リハビリの為の散歩)
11:30 昼食前後薬の準備
12:00 昼食、配薬
    スタッフ交代で昼食休憩と詰め所待機
14:00 ミニカンファレンス、勉強会
15:00 外出付き添い(定期的な日用品の買い物、気分転換・リハビリの為の散歩)
    レクリエーション(定期的行事や個々の患者さんのプログラム)
16:00 記録記入
16:30 申し送り
17:00 夕食前後薬の準備
18:00 夕食、配薬
18:30 スタッフ交代で夕食休憩と詰め所待機
19:30 処置(軟膏や点眼薬)
20:00 眠前薬の準備
20:30 配薬
21:00 消灯、巡回
22:00 1時間毎の巡室
    覚醒者の対応
     記録記入
     朝食前後薬の準備
6:00 点灯、巡回
    離床介助
6:30 採血
7:00 朝食、配薬
8:00 記録記入、申し送り準備
8:30 申し送り

*急性期病棟の場合、保護室入出中の患者さんや、身体拘束中の患者さんへの対応が24時間通して入ってきます。身体拘束中だと、だいたい30分毎の安全確認が必要です。

*慢性期の開放病棟であれば、外出の付き添いは基本的にありません。

精神科 看護師の仕事内容をケア別に見るとどうなるの?

薬物療法に基づく看護

精神科の患者さん達にとって、薬物療法はとても重要です。服薬の確認と副作用に対するケアが、精神科の看護師における仕事内容のなかで大きな役割となります。

精神科病棟以外ではあまり見かけない薬剤の使用が多いですから、まずは薬剤についての正しい知識の習得が必須です。

もちろん使用薬剤によって副作用は異なりますが、向精神薬を使用している場合、全般的に便秘や排尿障害、フラツキなどの症状が副作用として現れます。

浣腸や導尿が必要になってくることも多いですし、歩き方等、患者さんの動き全般に目を向ける必要があります。

また、血中濃度の測定が必要になってくる薬剤の使用も多いです。特に急性期病棟でしたら、薬剤調整の途中である事が多く、定期的な採血が必要になります。

状態観察

精神科で働く看護師に求められる重要な要素は、観察力と洞察力、そしてなにより忍耐力です。

精神科看護では、とにかく患者さんを観察して変化を読み取らなければ治療に繋がりません。顕著な変化もあれば、ほんの小さな変化がとても大切なサインになることもあります。

患者さんが自分の症状を自ら明確に伝えられるとは限りませんし、観察をして気付く力、そのことから状態を洞察していく力、それらが看護師に求められてきます。

もちろん一朝一夕に鋭い観察力や洞察力が身に付くものではありあません。根気強く患者さんと向き合い、忍耐強く自分の力を磨いていく必要があります。

また、精神科病棟では、理不尽だと感じる言葉を患者さんから投げかけられる事も多々あります。

そんな時でも、感情的にならず、専門家としての観察力と洞察力を持ち、冷静に忍耐強く状況を判断していかなければなりません。

安全で安心できる環境提供

精神科の対象患者さん達は、自分の居場所をとても大切にします。

安全で安心できる環境を提供する事が、精神科で働く看護師の大切な仕事内容になります。

患者さんと看護師との距離感や、看護師の雰囲気そのものが、その治療環境を作りあげていきます。そのことを感じながら日々の仕事に取り組んでいくことが大切です。

また、患者さんは時に興奮状態になり、暴力的な行動にでることもあります。特に急性期病棟ですと頻繁にみられますし、保護室を使用したり身体拘束を実施することも多いです。

患者さんが興奮状態になった時には、自分の安全を守ることも重要です。自分自身を守る事が、患者さんを守る事にもつながります。

保護室使用中の患者さんや、身体拘束中の患者さんへの対応には、必ず安全確保のためのルールがあります。ルールを守って患者さんと自身の安全を確保していくことが大切です。

急変時の対応

特に急性期の病棟においてですが、突然の精神運動興奮や自傷行為など、速やかな対応が求められる状況に直面することは多々あります。

そんな時に大切になってくる事は、いかに迅速に危険を取り除くかという事と、周りの患者さんへの影響を最小限に抑えるという事です。

精神科病棟の患者さん達はとても繊細で敏感です。ある患者さんが急変し、看護師がバタバタと処置を始めると、他の患者さんまで大きな影響を受けてしまうことがあります。急変時であっても、病棟全体への配慮を忘れないことが大切です。

精神科 看護師の仕事内容で患者さんを疾患別にみるとどうなるの?

統合失調症の患者さんの場合の仕事内容

統合失調症の人と接したことがないという人は珍しくありませんが、日本での統合失調症の発症率は100人に1人であり、決して稀な疾患ではありません。

症状はそれぞれですが、行動・思考・感情に問題が生じるため、急性期には幻覚や妄想、幻聴といった症状が強く現れます。

看護師の仕事内容としては、薬物管理と冷静な観察が主なものとしてあげられます。

統合失調症には薬物療法がとても重要です。幻聴や妄想にかられて薬を拒否されることも多々ありますので、個々にあった対応をしながら薬物摂取を促すことが必要です。

急性期ですと、幻覚や妄想による強い不安から、興奮状態に落ち入る患者さんも少なくありません。

薬剤の投与が必要なこともありますが、落ち着いて冷静に処置を施し、安全で安心できる環境作りに努めていく事が重要になってきます。

気分障害の患者さんの場合の仕事内容

気分が激しく落ち込んでしまったり、すごく高いテンションでコントロールが効かない状態が症状として現れる疾患です。うつ病や双極性障害がこの気分障害に含まれます。

この場合においても、薬物管理と冷静な観察はとても重要です。また、うつ状態ですと、様々な身体的症状が現れ、日常生活の自立が難しくなってくることもありますので、生活援助も必要になってきます。

また、自傷行為へのリスクも考慮し、危険因子を取り除いた静かな環境の中で過ごしてもらうことが大切です。

また、躁状態にある患者さんの場合、過剰な自信や万能感から他の患者さんへの攻撃的な態度が見られる事もありますので注意が必要です。

気分高揚が激しく身体的休息やセルフケアへの意識が薄くなってくることもありますので、刺激の少ない環境を提供し、十分な休息確保への援助や身体的援助を実施していきます。

精神作用物質依存症の患者さんの場合の仕事内容

様々な依存症がありますが、主な物にはアルコールや覚醒剤、睡眠剤等があります。

物質依存の患者さんは、専門の病院で治療していくことが望ましいですが、統合失調症や気分障害の患者さんと共に同じ精神科病棟で治療がすすめられることも多いです。

急性期病棟での主な仕事内容は離脱症状時の安全確保と、依存物質の長期服用による身体的損傷の程度の確認とその治療になってきます。

離脱症状が治まれば、その後は外来で治療を進めていくか、病棟から支援団体の集まりに通う等しながら治療を進めていく方もいます。

まとめ

いかがでしたか? 

精神科の看護師の仕事内容は忍耐力と共にあります。看護業務に追われることは少ないので定時で帰れる事が多いですし、他の診療科と比べると忙しさの面でも緩やかなのだと思います。

ですが、患者さんからキツイ言葉を投げつけられたり、社会的礼儀を持った対応のできない患者さんにネガティブな感情を持ってしまったり、時には身体的に苦痛を伴う場面にも出くわしたり。そんなストレスのかかりやすい環境で仕事をしなければいけません。

そんな職場での魅力ってなんなの?と思うでしょうか。その魅力は大きいです。

精神科では、看護師の存在そのものが治療に大きく影響します。

看護師の関わりひとつで大きな改善がみられることもあれば、悪化をまねくこともあります。それはとても怖いことですが、大きなやりがいでもあります。

また、精神科看護には、これが正解という明確なものがありません。精神科看護師としての知識を持ったうえで、スタッフみんなで摸索しながら看護を進めていきますので、自分の目指す看護というものを取り入れやすいと思います。

それに、精神科治療の分野はまだまだ発展途上です。これからもどんどん新しいことが研究され、発表されていくでしょう。まだまだ未知である精神科で働く事は、あなたの知的好奇心を十分に満たしてくれるはずです。

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執筆者情報

ナースの非常口編集部
ナースの非常口編集部
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