知ることが重要です!元内視鏡室看護師が経験したインシデント例
更新:2023/04/11
[内視鏡]看護師なら誰しも経験するインシンデント。起こした後の気持ちの落ち込みや自信喪失はとても辛いですよね。患者さんに影響があった場合はなおさらです。
内視鏡の看護師に転職しようと思っているあなたの不安の中に「インシデント」に対する不安はありませんか?インシデントは過去の事例を共有し、繰り返さないことが大切です。
わたしの知るインシデント例をあなたと共有し、内視鏡の看護師に一歩踏み出す後押しになればと思います。
看護業務上のインシデント
内視鏡室は外来、病棟、様々な診療科の患者さんが来られます。多忙な業務のなか短時間で的確に看護しなければなりません。それが内視鏡室ならではの難しさであり、インシデントの要因のひとつです。
- 腸管洗浄剤(ニフレック)によるインシデント
- 転倒のインシデント
- 抗凝固剤の確認不足によるインシデント
- 他検査との兼ね合いによるインシデント
- COPD患者への高酸素投与によるインシデント
腸管洗浄剤(ニフレック)によるインシデント
これは私のインシデントです。患者さんは前日に内服したラキソベロン10mlでも反応便が無く(意外とラキソベロンで反応の無い患者さんは多いです)、医師に報告後、通常よりも時間をかけて内服するよう指示がありました。
頻回に観察に行き内服をしてもらっていました。しかし半分内服した段階で突然噴水状に嘔吐され、急激な血圧低下を起こしました。緊急CTを取り診断はサブイレウスで、腸管通過可能径はわすか数ミリでした。CT画像を見てぞっとしたのを覚えています。
転倒のインシデント
内視鏡検査は、転倒転落のリスクが高いです。要因として絶食による低血糖、CF後・浣腸後の血圧低下、CF時の検査着への更衣、鎮静などがあります。
入院患者さんは鎮静後車いすでお迎えに来てもらいますが、看護師が申し送りをしている最中にご自身で移乗されようとし、転倒した事例があります。
抗凝固剤の確認不足によるインシデント
患者さんの中には内服薬が多くご自身で把握していないこともあります。問診できちんとした回答が得れないまま「抗凝固剤 無」とチェックし生検を行ってしまった事例があります。
他検査との兼ね合いによるインシデント
大規模施設では同日に他の検査を行う場合があります。多いのはCT、MRI、核医学検査などです。検査の順番も重要なのですが、患者さんが間違って内視鏡室に来られることも多々あります。
同日CTと上部内視鏡の患者さんにCTを先に案内すべきところ、上部内視鏡を先に施行してしまった事例があります。内視鏡検査により空気が溜まってしまうためCT画像に影響が出て、画像診断が難しくなります。
COPD患者への高酸素投与によるインシデント
私のプリセプティのインシデントです。せっかちな医師がまだ看護師が血圧計・SpO2モニターを装着していないにも関わらずセルシンを投与してしまいました。その後SpO2が低いため徐々に酸素量を上げましたが、SpO2が回復しませんでした。
様子がおかしいので、私も入室しカルテで調べるとCOPDの既往があることが分かり、すぐに酸素量を下げ検査を終了しアネキセートで覚醒させました。高酸素投与を続けてCO2ナルコーシス(呼吸停止)を起こしかねない危険な状況でした。
意識障害やSpO2低下の原因が鎮静剤によるものなのか、CO2ナルコーシスによるものなのか判断がつかないと対応が遅れます。どんなに医師に急かされても鎮静前には、必ず血圧とSpO2を測定しなければなりません。
他職種との関わりの中でのインシデント
内視鏡室では多くの他職種と連携し業務を行います。内視鏡を行う医師も内科だけでなく、外科・放射線科・産婦人科・呼吸器科・耳鼻咽喉科・泌尿器科の医師が行います。
その他に臨床工学技士・病理診断医・放射線技師(ERCP・小腸鏡などは透視室)・看護助手・洗浄員・クラーク・医療機器メーカーなどの職種と業務を行います。
- 医師との連携ミス
- 臨床工学技士との連携ミス
医師との連携ミス
内視鏡室に多くの医師がいる場合、それぞれの診療科との取り決め(看護師の介入の範囲など異なる)や、医師個々人の性格の把握不足(前述のせっかちな医師など)で指示漏れ・連携ミスなどが生じインシデントに繋がります。
臨床工学技士との連携ミス
使用済みスコープはすぐに臨床工学技士か看護師が片付けますが、手が空いてる方が行います。しかし、連携ミスで使用済みスコープを他の患者さんに使ってしまった事例があります。
業務一般のインシデント
- 防水キャップ忘れ
- 処置具による針刺し事故
- 貴金属の確認不足
防水キャップ忘れ
内視鏡のスコープは精密機器です。機械洗浄する際は必ず防水キャップをしなければなりませんが、忘れて浸水させてしまった事例があります。
処置具による針刺し事故
生検鉗子などは針がついているため、大型の針箱に破棄します。しかし長さが1メートル以上あるので巻き取って破棄しても、針箱に捨てた勢いで生検カップから針がむき出しになり針刺し事故を起こした事例があります。
貴金属の確認不足
ESDなどの処置の場合、高周波発生装置を使用するので、患者さんには貴金属をすべて外してもらう必要があります。結婚指輪を外し忘れて処置を行ってしまった事例があります。
まとめ
いかがでしたか?これらの事例はほんの一部ですが、実際の事例を知ることで気持ちの余裕を生み、同じ状況に遭遇した場合にハッと立ち止まることができます。
薬剤に関するインシデントは、当サイトの「内視鏡室看護師だからこそ必要な「薬剤」の知識」という記事でも詳しく説明していますので、そちらもチェックしてみてください。
誰でもインシデントを起こしたくないのは当たり前の気持ちです。特に転職直後であればなおさらです。しかし、それが自分の評価を下げたくないなどの気持ちからではあなたはインシデントを防げないでしょう。
あくまで、インシデントを防ぐことは、患者さんを守ることです。
私も新人のころと違って変なプライドでいっぱいだった時期がありました。しかし基本の患者さんを守るという考えに立ち戻ってようやく肩の力が抜けました。
転職前後は本当に緊張や不安でいっぱいだと思います。そんなときはひとりで抱え込まずに、ぜひ看護師転職サイトのコンサルトさんに相談してみてください。あなたの新しい一歩をサポートしてくれますよ。
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執筆者情報
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