NICUの看護師が立てる看護診断ってどんなものがあるの?
更新:2023/04/11
[NICU]どの病棟の看護師であっても、看護師は患者さんごとに立てられた看護診断や看護目標に沿って看護を行っていると思います。
NICUでは病棟の環境が特徴的であるゆえに、立てられる看護診断や看護目標も他の病棟と異なってきています。
ここではNICUでよく使われる看護診断・看護目標にはどのようなものがあるのか、そしてそれらに対し看護師がどのようにアプローチしていくのか、看護診断のNANDAに沿ってお話していきます。
NICU看護師がよく使う看護診断・「転倒リスク状態」
「転倒リスク状態」はいろいろな病棟で使われる看護診断の一つだと思います。
一般的には患者さんが立ち上がったり歩行したりする際に患者さんが転倒しないように看護師が環境を整えたり、ベッド上から転落しないようにベッド柵をするなどの看護計画が立てられると思います。
NICUでは赤ちゃんが自分で自立歩行することはありませんが、看護師やご両親が保育器やコットから抱っこする時や赤ちゃんの体位交換時に赤ちゃんが転落する可能性があるため、「転倒リスク状態」を看護診断としてあげることが多いです。
なのでNICUの看護師はそのようなことが起こらないように、点滴のルートや呼吸器のコードを整えておいたり、ベッド柵や保育器窓を必ず閉めるようにします。
またNICUの看護師はご両親に対して赤ちゃんを転落させず、安全に抱っこする方法を指導することもあります。
ご両親にとって初めてのお子さんであったり、医療機器がたくさんついている赤ちゃんのご両親は抱っこの方法について理解が十分でないことがあるため、
安全で赤ちゃんにとって安楽な抱っこ方法を指導していくことが看護目標を達成するために必要です。
NICUの看護師がよく使う看護診断・家族機能
NICUは生まれたばかりの赤ちゃんが入院する病棟であり、ご両親と赤ちゃんが離ればなれになってしまう場所でもあり、ご両親と赤ちゃんが家族になる準備のための場所でもあります。
お母さんと赤ちゃんが離ればなれになる状態を母子分離状態と言いますが、赤ちゃんにはお母さんやお父さんのご家族の存在が必要不可欠です。
なのでNICUの看護師はご家族が離ればなれであっても、家族としての機能を促進させるために家族機能に関する看護診断をよく使います。
この家族機能にはウェルネス診断である「促進準備状態」と看護問題となる「障害」や「リスク状態」がありますが、どちらを使うかはそれぞれの家族の状態によって違います。
しかしどちらの場合でもNICUの看護師は家族機能をよりよくし看護目標を達成するために、「ファミリーセンタードケア」という家族は看護の中心であるという考えのもと看護を行っていく必要があります。
NICUの看護師がよく使う看護診断・母乳栄養
NICUに入院しているのは赤ちゃんであり、赤ちゃんの栄養摂取方法というと母乳か人工乳のどちらかになります。
赤ちゃんにとって人工乳を飲むことは悪い事ではありませんが、母乳というのは赤ちゃんにとって最適な栄養摂取方法であり、お母さんと赤ちゃんのコミュニケーションにもなります。
しかしNICUにいる赤ちゃんは低体重であったり疾患があったり、またNICUの面会時間が限られていたり、お母さんが24時間病棟にいるわけではないので、お母さんのおっぱいを直接吸って母乳を飲むという直接授乳をすることが難しくなっています。
赤ちゃんは離乳食が始まるまでの間はミルクのみの栄養で大きくなっていくため、NICUの看護師は母乳栄養に関する看護診断を立て、お母さんに対して母乳栄養をできるだけ長く続けてもらえるようにアドバイスすることが必要です。
特に直接母乳ができない赤ちゃんのお母さんはこまめな搾乳が必要となってくるため、精神的にも体力的にも大変です。
なのでNICUの看護師はただお母さんに母乳栄養を続けてもらえるように促していくだけでなく、お母さんのストレスが少しでも少なくなるように、お母さんの気持ちに寄り添いながら、看護を行っていきます。
また直接授乳ができる赤ちゃんとお母さんには、赤ちゃんの状態や疾患によって最適な方法で直接授乳が行えるように観察したり介助を行っていきます。
このようにNICUの看護師は赤ちゃんの成長に必要な母乳栄養に対して看護診断を立て、赤ちゃんとお母さんがよりよい母乳栄養を続けていけることを目標とし看護を行っていきます。
まとめ
いかがでしたか?
NICUの看護師が使う看護診断には、他の病棟でもよく使うものでも看護介入の視点が違っているものや、NICUならではの看護診断など多様なものがあります。
このようにNICUでよく使われている看護診断は対象が患者さんだけでなくご家族も含まれてくることが多いので、NICU独自の看護が必要となってきます。
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